僕 の 愛 し い 人 [ホラー]
毎日今まで付けていなかったリストバンドを付けはじめたり
自慢の長い黒髪が少しずつ短くなりはじめたり‥‥

『せな、髪‥切った?』

『え?切ってないよ〜』

おかしいと思って聞いてもいつもこの返しかた。

『せながリストバンド着けるなんてなんか意外』

『そう?
可愛いでしょ?
安かったんだよ。』

『‥ねえ、なんか悩み事とかある?』

私は核心を突く。

雪梛の後ろ姿が何故か悲しい。

私の方に振り向いた雪梛は微笑みながらこう答えた。


『なーんにも!』


私は何故かこの言葉で安心した。

――‥安心してしまった。

その日の放課後、掃除当番だった雪梛が教室に戻って来なかった。

いつもどちらかが掃除当番の時は教室で待ち合わせしているのに、この日に限って雪梛は来ない。

『‥また誰かに絡まれてんのか?』

私は教室から出て校舎を歩き始めた。
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