百万回のイエス
隣を歩く華奢な肩に、その肩にかかる綺麗な髪に、俺は目を何度も奪われていた。
彼女はまったく喋らないし、俺も話さない。
浜岡と麗奈ちゃんの会話に相づちを打つばかりだ。
俺たちは浜岡の希望通り、ジェットコースターの列に並んでいた。平日の、しかも夜になろうとしている時間帯、あまり混んではいない。
「おっし!きた!俺、1番前!!」
浜岡が小学生ばりのテンションで声をあげる。俺たちが乗る番が来たようだ。
ジェットコースターはもちろん、2人席。俺とユキちゃんは隣に座ることになった。
「隣座るよ。」
俺が一応、声をかける。
「はい。」
彼女は小さく返事をした。俺がかたんと乗り込み、ジェットコースターが動き出した。