キョウアイ―狂愛―
異形達の追跡は、じわじわと盗賊を追い詰めていった。
その戦闘能力は街の警備隊の比ではない。
つかず離れず一定の距離をとり隙を伺っている。
盗賊達が体力を消耗し弱りきるのを辛抱強く待っているのであった。
盗賊達は山深くに追い詰められ、足場は雨も手伝いますます悪い。
そんな時、ジキルのすぐそばを今まで走っていたラッドが馬を止め、追手を食い止めるように立ちはだかった。
「おい!ラッド!?何してる!?」
気付いたジキルはすぐに馬を操り引き返した。
「……お頭。止まらないでさっさと行っちゃってください」
ラッドは落ち着いたよく通る声で背を向けたまま言う。
「このままじゃ、みんな犬死にです。オレはそんなの嫌ッス!!
だって、オレ達は、泣く子も黙る赤髪の盗賊団なんですから!」
「ラッド……」
覚悟を決めてしまっているラッドにジキルは何も言えない。
ラッドとの付き合いはもう8年にもなる。
まだ少年だったラッドをジキルが遠い街で拾ってきたのだ。
風変わりな少年で身なりはボロボロで食べる物もなく、貧しいスラムにいながら、その瞳は希望を失っていなかった。