キョウアイ―狂愛―
「ラッドーーー!!」
馬の蹄の音と共に遠ざかってゆくラッドは、クレアの声にゆっくりと少しだけ振り返った。
ラッドの口元には笑みが浮かんでいた。
そして、彼は
ヴァンパイアの群の中に剣を振り上げ駆けていった。
「……くそっ。くそ……」
馬を走らせジキルは言葉にならない怒りを吐き出す。
そんな中、ラッドと決別してから一言も言葉を発しなかったクレアが急に口を開いた。
「……もう嫌よ」
雨に紛れた涙をぬぐい、ジキルを見上げた。
「あたしのせいで皆が命を落とす……もう、嫌。
逃げて!ジキル。
守る必要なんてない。あたしを置いていって!」
ジキルの服を握りしめ懇願する。
「聞こえたか?おめーら」
憮然とした表情でジキルは子分達を振り返った。
「クレアさんはなんて言ったんですかね〜?」
「雨がうるさくて聞こえねーです」
子分達はとぼけた表情で返してきた。
「……ふざけてンだろ?こいつら」
ジキルは苦笑してクレアに同意を求めると、
「クレアは、てめーらが邪魔だからどっか行けっつってんだよ!!」
怒鳴り付けた。