キョウアイ―狂愛―
「お頭〜〜」
「そりゃないっスよ〜〜。最後まで付き合わせてください」
「バカ野郎!」
ジキルは必死について来ようとする部下を、さらに怒鳴り付ける。
「無駄死には……ラッドのバカだけで十分なんだよ!!
オレはクレアを守って逃げ延びてやる。
てめぇらも散れ。なりふり構わず必死に逃げろ!」
そう言い、なおもついてこようとする部下達を無理やり追い払った。
部下達は、頭の迫力についには圧され、一斉に進路を変え、道をそれて行った。
それを見届けるとクレアは幾分ホッと安堵の表情を浮かべた。
後ろに追手は迫っていたが、少しでも犠牲を減らせたからだ。
「あなたも行けばいいのに……」
二人切りになってしまった逃避行。
自分を見上げ顔をしかめるクレアに、ジキルは不機嫌そうに呟く。
「……まだ返事ももらってねぇのに手放せるか」
ジキルの腕に力がこもる。
容赦なく振り付ける雨はクレアの体温を急速に奪っていった。
今はジキルの手が触れたところだけが温かい……。
クレアはうつむきながらそんなどうでもよい事に気付いた。
(ここまでされたら断れる訳ないじゃない……)