キョウアイ―狂愛―



「クレアなら上にはいない。もう移動しているはずだ。
貴様には追い付けまい」



半分真実のそれをニヤッと笑いシアンに突きつけると、途端に動揺の色を表す。




「クレア……クレア!」


シアンの視線は一点に集中する。


入ってきた中庭の入り口。


ここにはもう用はない。



サイファはシアンの進路が定まったのを確認し、剣を持ち変えた。


柄(つか)を逆に握る。




シアンが人間とは掛け離れたスピードで、自分の後ろの出口に向かい走り出す。


サイファは剣を槍(やり)のように、シアンのくぼんた目、めがけて躊躇なく投げた。




「ギャアアァァァアア」



剣は見事にシアンの眼球に刺さった。


目を押さえて暴れ狂う化け物。




(よし!これで……)



サイファに安堵の息が漏れ、油断が出た


その時、




「ソウ……何度モ何度モ、……オレヲ殺レルト思ウナァアア!」





突き刺さった剣は思い切り引き抜かれ、サイファの腹に突き立てられた。





ガガッ


それはサイファを貫き中庭の出入口の柱に突き刺さる。




「オレハ脆弱(ゼイジャク)ナ人間トハ違ウンダァアア!」


叫びながらシアンが剣に更に力を込める。



ビシ


石の柱に縦にヒビが走った。



―――……!?



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