キョウアイ―狂愛―






「やあ、今から部屋へ迎えに行こうと思っていたんだ」




サイファは振り返ると、曇りなど一欠片もない晴れ晴れしい微笑みを向けた。



返り血を浴びた笑顔は異常ながら何故か違和感を与えなかった。



青い空に昇る炎は豪胆で清々しくすらあった。





「君を傷つける邪魔者は全て葬ったよ」




血に染まった赤い手が差し述べられる。






「永久に二人で生きよう」





サイファの美しい瞳が赤い炎に揺らめいた。







ああ、お父様。



古くからの習わしは真実だったのですね。



貴方はやはり正しかった。



少しでも疑った自分を罰したい。



このような後継ぎがいては、一族の栄華など夢のまた夢。








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