キョウアイ―狂愛―




ところが、赤毛の男―『お頭』は目を輝かせ、



「おぅ、ヤローども!我らが紅き姫がお目覚めだぜぃ!!」



愉しげに叫んだ。

男達も勢いよく酒を持ち上げ、


「裸足の姫様に乾杯〜〜」
「強き女神に乾杯〜〜!!」

口々に叫び、飲み交わした。

ただ、一人、ラッドと呼ばれた青年だけは、咳をしながら首をさすっている。




「紅き……姫…?」


訝しげな顔で復唱したクレアに、


ス……


と、ランがクレアを指差す。



差されるまま視線を下におろしたクレアが目にしたものは………




白い寝間着にべっとりと染み込んだ赤。




「きゃあっ!」


寝間着だけじゃない。
首元にも、鏡がなく見えはしないが、多分口の回りにも……。



―――どうして!?あの男に血を吸われたから?


―――ううん…その後!……どうなった!?




ダメだ……思い出せない……。覚えてない……。



口元を押さえ震えだすクレア。



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