キョウアイ―狂愛―
目を奪われているクレアに、
「オレはお前に見惚れた」
突然の告白。
「オレ達はふもとの町で盗みをやってんだが、あぁ貧乏人は狙わねーぜ?
義賊ってヤツだ。嫌味な金持ちからお宝をせしめ、スラムに配ってんだ」
質問に来たクレアを置き去りに、ジキルは一人話し出した。
ジキルの話では、
今朝も貴族の屋敷から金目の物を盗み、引き返す途中、
森の入り口で悲鳴が聞こえた。
近くに寄って見たジキルは、
(1、2、3)
三人の男が倒れているのを確認した。
(獣にやられたか?)
森には狼が出る。
エサの無い時は、ふもとまで降りてくる場合もある。
しかし、目を走らせた森の奥には、白い着物を着た何かがボゥッと浮かび上がっていた。
目を凝らすジキルに白い着物を着た何かは振り返る。
(気配を読まれた!)
獣相手ではよくあること。
しかし、白い何かは女だった。