他校の君。【完】



頭をポリポリと掻いた後、みっちゃんにノートを渡した雪はあたしをジーッと見下ろし続ける。


「???」


どうしたのかなぁ?


「最近、あいつとはどう?」

「あいつ?」

「……一臣ってやつ」

「一臣君?」

「会ってんの?」

「んーん?会ってないよ」


花火に行ったっきり会ってない。

テストが終わる時間もバラバラだったしテスト期間が終わっても中々電車で会えてない。

朝も、何故か会えてない。

ー…会いたいなぁ。

そう、思っても学校が違うから、さっきみっちゃんが言ったみたいに偶然廊下ですれ違うなんて事も無い。


「そっか、ならいい」


何故か雪の機嫌がよくなる。


「よくないよ」


あたしは会いたいのに。


「俺はいいの」

「意味分かんないよ、雪」

「分かんなくていいよ、今は。…本当は分かってほしいけど」

「何を?」


何を分かってほしいのか聞くと、雪は笑うだけで教えてくれなかった。


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