ココア
 
みんなに、送別会を
開いてもらったあの日


透たちと共に、
バカでかい花束を抱いて、
彼女は、貸し切りレストランの
ライブステージから現れた。


『えっ?!』


今、晩飯不要ってメールしたら、ラジャーって、特殊戦隊みたいな返信、即刻してきたじゃん?!


『樹里、お疲れ様。』


そういって、
近づいてくる彼女から
花束を受け取れば、
耳元に顔を近づけて
頬にキスを一つ落として。

周りの生徒や講師の冷やかしも
素知らぬ風で、スマート。


またもやの、サプライズ


・・・堂野さんか?
ところが、今回は、
啓太が仕組んだらしい。


真月は、相変わらず、
俺が、毎度苦言を零すのに
今日も懲りずに激エロ衣装で
いつものメンバーに
啓太と七海を加え従えて。


六ピースのアコギの前で
練習なんて、いつしたのか?
講師である俺らを
唸らせるライブを
サックリこなして。

『樹里、お疲れ様。
大好きよ。』

マイクを通して
俺の元生徒が、満載にいる中、
臆することなく告げた。


自分の奥さんだけど、
かっこいい事この上ない。

さっき、マイクに
微妙なハウリングを
効果的に起こしたのも、
わざとだろ?

・・・おまえの事だから


俺はといえば、さすがに、
ちょっと感激して

涙を我慢するのに
必死だった。


真月と、出会った場所
片思いの歴史と共にあった場所

それを思い出して
なんだか 
くすぐったかった。



 



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