ココア
 

「センセ、今年、
チョコ何個もらったの?」

この文化サロンでの最後の授業

一年限りで延長していた
講師も、今日が最後で。

来期というか、来月からは、専門学校での講師と、ギタリストとして、真月を養う事となる。

・・・とは、いえど。


元々キャリアウーマンで
実績のある彼女を、
世間が放置するわけもなく。

独立した先輩を手伝って
小遣い稼ぎ程度に
暇を潰しているのは
優しさじゃないだろうか?

彼女が本気で行けば、
俺の稼ぎなんて越えんぢゃね?


ちなみに、職場ですら
真月は、義理チョコは
ホワイトデーが面倒だから、
配らないって言っていた。


「そういや、学校って、
チョコの配布、
一応、禁止だろ。」

啓太のツッコミに
なるだけ平静を装って
答える。


わかってるんだ。
コイツらの聞きたいことは。

俺が真月から
チョコを貰えるのか?
それに尽きる。


専門学校でも、
俺の生徒となった啓太と七海は
入学早々、俺を見つけ
真月の事を、学校中に
ぶちまけてしまった。

俺がいかに真月と結婚したとか
俺がいかにベタボレとか・・・

ギター専科の生徒には
教科書より浸透している。


・・・つまんねーこと 
いってないで
まともに、練習しろっつーの。

だから、中々
うまくなんねぇんだよ。
バカタレ共が・・・


  
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