My fair Lady~マイフェアレディ~
なんだかゾワゾワした感触に首を振っていると、彼は俺の首に腕を巻きつけたまま俺の方へ体重を寄せて俺の首筋に顔を埋めた。スンッと空気を吸う音が耳元で聞こえる。

「ちょっ、パパン?!」

いつもよりも気だるげな彼。一体どうしたというのか

「……仕事が上手くいかなくてな」

彼はポツリと小さな声で言った。俺は何の仕事だという台詞を喉まで出掛かってネオードの視線に危うく抑えた。

「パパン…」

でも、そうすると何て言ったらいいかわからなくて、とりあえずグルリと回転して彼と向き合った。

そして、思いっきり笑顔。
彼は、へ?と呆けた顔をしていた。
前にトマトの収穫を一緒にやったおばちゃんが大人はどんなに疲れていてもお家にいる子供の笑顔で癒されるんだって言っていたのを思い出したのだ。
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