My fair Lady~マイフェアレディ~

「何してんだっ!!てめぇっ!!!」

聞き覚えのある声が響いた。それは先程別れたカイトだった。
手には俺のポーチが握られていた。

「ひぉっうぅっ!!」

だが、その声の次に来た痛みに俺は目を堅く瞑った。
カイトの声にビクリと肩を揺らした男が誤って俺の足の付け根より少し下の位置に傷つけてしまったのだ。
ドロリ、と内股から血が流れる。

男はチッと舌打ちをした。
カイトは「誰か来てくれー!!」と叫んだ後、すぐに飛び掛って来て、男を蹴り飛ばした。

カランッとノコギリが落ちる。
なんだ、なんだと周囲の人も集まって来た。


男は一撃で失神。改めてみても気持ち悪い男だった。
俺は腰が抜けてしまい。とても立てる状況ではなかった。何よりまだ縛られているのだ。

「ユウ…」

心配そうにカイトが俺の頬を撫でた。

「大丈夫か…?」

「うっ……」

冷えた頬に体温を感じて俺はポロリと涙を流した。

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