My fair Lady~マイフェアレディ~
「うえー…」

心細さに涙が止めようなく零れてくる。

どうして、あんなに注意されたのに離れてしまったのだろう?
どうして、気付かなかったのだろう?
どうして、どうして…。

後からと、どんどん後悔が込み上げて来る。
しかし、今更どうしようもなくて。
俺はその場から動かない事にした。どこに進んでいるかわからないのに適当に歩いても仕方ない。

(このまま見つからなかったらどうしよう…)

頭の中では最悪な事態しか思い浮かばない。俺は何ども頭を振って嫌な考えを振り払った。
涙を拭ってただひたすらにその場で待っていた。


その時。


ガササ!と大きく茂みが揺れた。ビクリと肩を揺らすと、その茂みを俺はじっと見つめた。
だが、すぐにシンッ…と静まり返っていた。

「動物…かな…?」

俺は少し気になって近づいた。しかし、そこに不思議な所は何もない。
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