My fair Lady~マイフェアレディ~
がむしゃらに走った。息が切れる、それでも走り続けた。

そして盛大に転んだ。

膝と顎に傷が出来た。膝が酷い。血がどくどくと溢れてくる。



それでも俺は走った。だが途中から足が痛くて、もつれ始めた。
今の心とは裏腹に空は眩しいくらいに、晴れ渡って雲一つ無い青空だった。
混沌としている頭の中。叫びたいような、歎きたいような。


何もかも忘れてしまいたくなるような…。



俺の心の中では、これは何かの間違いだと主張している。
あれは、悪い夢なんだ。

行くあてもなく、フラフラと俺は歩いた。そして気付くと自分は街に向っていた。
街の中では、何一つ変わることなく笑ったり、騒いだり、とても賑やかだった。


まるで自分とは別の世界だった。
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