My fair Lady~マイフェアレディ~
街の人々は泥だらけの服と足の怪我を見て、目を見開いて少し遠くから様子を窺っていた。

不思議と、その視線は何も気にならなかったし、どうでもよかった。
涙は枯れて目下の頬が引きつって痛い。

俺がヨタヨタと彷徨っていると、肩を強く引かれた。


「お前、ユウか?!」

「……カイト」

作業着を着たカイトが片腕に大きな籠を担いで驚いたように立っていた。
俺はカイトの姿を見ると、酷く心が安心していくのを感じた。
眩しそうにカイトの顔を見上げると、ぎゅっと彼に抱きついた。


「…ユウ…?」


彼は困惑した声を出した後、何も言わずに俺の背中を撫でてくれた。

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