ICE
この旅で一番の難所がやって来た。
ハドソン川の辺りを調べてみても、一艘の船も見当たらない。
どうしてもこの海峡を越えなければならない。
それにも関わらず道は閉ざされたように思えた。
大人が落ち込んでいると、ロビンソン氏の長男が言った。
「電車のトンネル」
その手があった。
フランスとイギリスは線路で繋がっている。
おそらく残っているだろう。そういって、線路をめざした。
線路は無事で、9人はフランスにわたることができた。
一行は、駅でソリの代わりになりそうなものを探した。
三台の台車を見つけ、そこに荷物をのせた。
吹雪の中、山を越え、谷を越え、フランス、スペインと縦断した。
その途中、やはり誰にも会わなかった。
そんなこんなで何とか乗りきり、スペイン最南端までやって来た。
対岸のアフリカが見える。
しかしそこも白く見えた。
誰もが肩を落としたが、エリーナは内陸は雪が降っていないかもと励ました。