ICE
目覚めるとエリーナの姿がないことにロビンソン一家とウェバー一家は困惑した。
彼女を探したかったが、まずは安全なところに逃げることが先だ。
子供たちを危険にはさらせなかった。
誰にも見つからないように歩き、やっとのことで小さな洞窟を見つけた。
その頃、
「君にはすべてを話そう」
ジェフはそう言って、あの日のことを話始めた。
実に簡単なことだったよ。どんな国も、核兵器の発射スイッチには何重にもロックをかけている。
だが、ただの迎撃ミサイルは一つか二つ、精々多くても三つだ。
僕にとって、それはセキュリティでも何でもない。
ハッキングは簡単さ。
あの日、僕はまずアメリカ国防総省のコンピュータシステムに侵入した。
そして迎撃ミサイルを奪った。
ジェフは楽しそうに話した。
そのあとロシア、フランス、インド。
そいつらのミサイルを使って原子力発電所を破壊したんだ。
中国には少し多目に打ち込んだよ。
彼らが核を使って反撃することは目に見えたからね。
エリーナが彼と付き合っていた頃、彼はアメリカ国防総省に勤めていた。
エリート街道まっしぐらと言われたが、横領がばれ左遷された。
昔からハッキングの天才だった。
「なんでこんな酷いことを?」
エリーナは恐怖と哀しみで震えていた。
「復讐だよ」
僕をこんなところに飛ばしたやつらへの復讐。
そう言ったジェフにエリーナは悪寒がした。