シュガーベイビー★キス
泉サマは慣れた手つきであたしの携帯をカチカチといじると、今度は自分の携帯を出して両手でボタンを打ち始める。





な、なんですかその技はー!




未だに携帯に慣れず両手打ちのあたしには到底出来ない…




感動しながら見ていると、




「ん。」




あたしに向かって携帯を放り投げた。




「あわわわわっ…!」




プリントの束の上にヒョイッと携帯を乗せる。




「あ、あの……一体…」



「連絡先、赤外線で交換しといた。」



「赤…外線?……遠赤外線?」



「違うわアホ!赤外線だ!んなことも知らねーのかお前は。」



「す、すみません…」



「……はあ。とにかく、お前の携帯に俺のアドレスと携帯番号入れといたから。」



「ええっ!ななななんでそんなことをっ……」



「なんでって…連絡先交換しといた方が色々ラクだろ。俺たち、“付き合ってる”んだし。」




泉サマはそう言うと、ニヤリと笑った。


その微笑みは、小悪魔を通り越し…




悪魔。




一瞬にして血の気が引いた…







「とりあえず、今日の放課後、あけとけよ。」



「いやっ…今日は……」



「じゃあな、どんくさ。」






きょ……今日は仕事があるんですー!!!





あたしの心の叫びも虚しく、非常階段のドアがゆっくりと閉まっていった。




泉サマ…


一体何を企んでいらっしゃるんですか…



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