悲愴と憎悪の人喰い屋敷
垣間見えた真実
「けど、どうして俺だけが開けられるんだ?」

別荘が好き嫌いでもしているのか?
俺は食べても美味しくなさそうだとか?
望月は首を傾げている俺の左手を突然握り締めた。

「な、何だよ?どうしたんだ?」

綺麗な顔を近づけて何も言わずに微笑まれると正直戸惑うぞ。
動揺している俺に望月は言った。

「このブレスレットのおかげだと思いますよ」

「え?」

「僕が玄関から何故、入れなかったと思います?別荘が僕を拒んだんです。このまま依頼は実行できず再び犠牲者が増えるのかなと諦めた時、不思議な波動を感知しました。それを辿って行ったら…」

望月は手を離し、間を置いて俺の胸に指を差す。

「貴方の居る部屋に着いたんです。さすがに二階だったので苦労しました」

それで木に登って呼んだのか。

「霊力ないから解らなかったけど、これって凄い力を持ってるんだな」

今まで不可思議な体験をした事がなかったので、ブレスレットの力が解らなかったのかもな。

「おそらく、別荘と何か関係している気が僕はするんですが…。それと気付いていないんですか?貴方は他の人にはない能力を持っているんですよ」

「え?俺が?」
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