悲愴と憎悪の人喰い屋敷
サークルメンバー
雨は俺達が別荘の軒先に入ると同時に激しさを増した。

「今日は一日中、雨かもな」

遠くで雷の音が響いているのを聞き、朝まで止みそうにないと確信する。

「そ、そうですね」

同意を求めた三浦は何故か歯切れの悪い言葉を返す。
靴に水でも入ったのだろうか?
首を傾げて問おうとした時、
遠くの方で雷鳴と轟音が鳴った。

「!」

雷が墜ちたと同時、
三浦が俺の袖を握る。

「もしかして、雷が苦手なのか?」

俺が顔を覗き込んで聞くと、三浦はハッとし袖から手を放して言う。

「はい…男のくせに、みっともないですよね」

「そんな事はない。苦手なものに男も女も関係ないさ」

「ありがとうございます」

自分にも言い聞かせる様に俺が笑顔で答えると、三浦は悲しい様な嬉しい様な顔になる。
苦笑って感じではなく泣きそうな顔と言った方が妥当かもしれない。
そんな顔される度に問い質したい気持ちになるが、何となく触れてはいけない気がして俺はいつも言葉を飲み込んでいた。

「それじゃあ、中に…!」

別荘の扉に手をかけようと振り向いた時、何故か俺は息を詰める。
何だ?この威圧感…まるで扉の先に恐ろしい者が居るような…。

「北川先輩…本当に入るんですか?僕、何か嫌な予感がします」

俺の心を見透かした様な三浦の言葉に、俺は生唾を飲む。
二人して絶句しドアノブを掴む手を迷わせていると、突然静かに扉が開く。

「!!」

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