Crazy Love
夕方、カズくんが達也を連れて帰ってきた。
「上手く行ったみたいだね」
俺たちの顔を見て、そう言いながらカズくんはうれしそうに笑った。
「はい」
俺も満面の笑みを浮かべて、カズくんに答える。
カズくんの足元で、達也が俺を見て不思議そうな顔をした。
「達也くん。こんにちは」
しゃがんで、達也に挨拶をする。
達也は、耳が痛くなるほど大きな声で元気に挨拶をした。相変わらずちゃんとした言葉にはなっていないが、それがまたかわいい。
俺は達也の頭をクシャクシャと撫でながら
「お! 元気いいな! 達也くんよろしくな」
と言い
「お兄ちゃん……俺は……」
自己紹介をしようと思ったが、どう言って良いのか迷っていると
「あのね、達也。あなたのパパだよ」
芹が優しい声で、そっと達也に言った。
「パパ?」
達也はますます不思議そうに俺の顔を覗き込んでから、スッと部屋の隅の方に逃げてしまった。