さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ソリャンに手を引かれ、レイラは立ち上がる。
向かい合わせて置いてあった椅子を隣に並べると、
レイラと一緒にソリャンも腰をおろした。
求めに応じて包み隠さず話す。
父と姉がいること。父の弟子だという二人の男とも一緒に住んでいること。
レイラにとって、それは隠すほどの内容でもなかったが、
ソリャンは熱心に耳を傾けた。
「じゃあ、レイラは母親を知らないのかい?」
「はい。物心つく前に死んでしまったと」
「それはかわいそうに。父親の名はなんというんだい?」
「はい。ミゲルと申します」
「ミゲル」
ソリャンの瞳が、宝物を見つけた子どものように妖しくきらめく。
「ソリャン様?」