さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
部屋の外、廊下側の扉の前には一人の侍女が控えていた。
切れ長の瞳が印象的な美しい女。
女が道を譲って跪くと、
すれ違いざまソリャンが正面を向いたまま、誰にともなく命じた。
「ジマールの領地で捕らえられている、ミゲルという盗賊について調べろ」
「はい」
背中越しに女の返事を確認すると、ソリャンは何事もなかったように立ち去った。
・・まさか、生きていたとはな。
ソリャンはわずかに口角を持ち上げた。
その唇は、夜のさえざえとした闇に浮かぶ、三日月のようだった。