さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
『本当だ。君の料理は非常においしかった。
きっといい花嫁になるだろう』
『うれしい!
あ、あの。今度は夕飯を食べにいらっしゃいませんか?
そのぅ。私の部屋に・・・』
盗み聞きをしようと思ったわけではない。
だが、楽しそうな会話が耳に入る。
自分とは一度も交わしたことがないような、男女の会話。
足音が立たないようにゆっくりと近づくと、侍女らしき相手の顔が見える。
頬を赤く染め、うっとりと輝く瞳。
サジの顔は角度が悪く見えないが、話の内容からして笑顔に違いない。
自分には見せない顔を見せているのだろうか。
レイラはくるりとつま先の方角を真後ろに変えて、
すたすたと歩き出した。
少し後ろを歩いていた侍女が、不思議そうに問いかけた。