さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ぷいと顔を背け、カマラは黙った。
ユーリの呼びかけにも無反応だ。
・・だめだ。俺、やっぱり女は苦手。
褒めたはずなのに、どうも怒らせてしまったらしい。
何がどう悪かったのかは、よくわからないが。
ユーリは、額に手をあて空を見上げた。
ヴィシューの蒼を写し取ったような美しい空が、遠くまで続いている。
「ユーリ様。船の準備が整いましたが。
・・・どうかされましたか?」
兵士の問いかけに、ユーリは力なく、いいや、と答えた。