さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
レイラは、はっとした。
秘密の通路の話をすれば、サジの身が危なくなるのではないか。
急に心臓がどくどくと強く打ち付ける。
しかし、サジはその質問を予想していたのか、
特に顔色も変えず答えた。
「レイラ様の部屋の前を通りがかったら兵士の姿がなかったのです。
それでおかしいと思い、失礼ながらレイラ様の部屋の中をうかがったのです」
「兵士の姿が?」
「はい」
ソリャンは眉間に深い皺を刻むと、無言になる。
・・それでは、秘密の通路から来たのではなかったのね。
ソリャンを見上げるサジの首筋に喉仏を見つけ、レイラは慌てて目をそらした。
・・やだ、何恥ずかしがっているんだろう。変に思われちゃうじゃない。
抱きしめられたぬくもりが、つい今しがたのことのようによみがえる。
記憶を封印するように、レイラはぎゅっと瞼を閉じた。