さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「お待ちください」
サジが突然立ち上がり、ソリャンの後を追う。
レイラからはすでに数歩離れたところにいたソリャンが、サジの声に振り向いた。
すばやくソリャンに近づくと、
「実は、申し上げたいことがあるのですが」
サジはレイラに背を向けて声を潜めた。
「なんだ」
「レイラ様を襲った人間に心当たりがございます」
「なんだと!?何者だ!」
「それが、顔は確実にわかるのですが、素性を知りません。
それで、城の中を自由に歩く許可を頂きたいのです」
ソリャンの喉がごくりと上下する。
サジの言葉の意味に気づいたのか、蒼白だ。
「それはつまり、我が城にいる人間が、レイラを殺そうとしたということか」
確認するようにゆっくりと言葉が吐き出された。