さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
侍女の一人がレイラに頭を下げ近寄ると、サジが来ていることを早口に告げる。
すぐに通すように伝えると、サジを後ろに伴って侍女が戻ってきた。
「私室にまでお邪魔いたしまして、申し訳ございません。
ソリャン様に城中を自由にまわる許可をいただいております。
レイラ様を襲った人物を探しておりますので、お許しください」
サジは堅苦しく跪き頭をたれる。
「あ、よろしくお願いします」
レイラの顔をまともに見ることもなく、
では失礼いたします、と言ってすっと立ち上がると、
サジは侍女や兵士の前をぐるりと一周し始めた。
一人一人の顔をじっくりと見てまわる。
サジに見つめられて、侍女たちが顔を赤くするのを見て、
レイラはなんだか腹の辺りがむかむかと重くなった気がした。
自分のために、やってくれているのだろうと頭ではわかっているのだが。
・・あとで話すなんて言うから、ずっと待ってたのに。
顔を持ち上げる事を忘れてしまったかのように、
レイラは見慣れてしまった自分の足先に目をやる。