さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

侍女の一人がレイラに頭を下げ近寄ると、サジが来ていることを早口に告げる。

すぐに通すように伝えると、サジを後ろに伴って侍女が戻ってきた。


「私室にまでお邪魔いたしまして、申し訳ございません。

ソリャン様に城中を自由にまわる許可をいただいております。

レイラ様を襲った人物を探しておりますので、お許しください」


サジは堅苦しく跪き頭をたれる。


「あ、よろしくお願いします」


レイラの顔をまともに見ることもなく、

では失礼いたします、と言ってすっと立ち上がると、

サジは侍女や兵士の前をぐるりと一周し始めた。

一人一人の顔をじっくりと見てまわる。


サジに見つめられて、侍女たちが顔を赤くするのを見て、

レイラはなんだか腹の辺りがむかむかと重くなった気がした。


自分のために、やってくれているのだろうと頭ではわかっているのだが。



・・あとで話すなんて言うから、ずっと待ってたのに。



顔を持ち上げる事を忘れてしまったかのように、

レイラは見慣れてしまった自分の足先に目をやる。











< 195 / 366 >

この作品をシェア

pagetop