さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

レイラ様、と言う低い声で視線を上げると、

すぐ目の前に、再びサジが膝をおりこちらを見ていた。


「人払いをお願いできますか?」


「え?」


なんのためにだろう。

レイラはサジの目的がわからず、返答に詰まる。


それを見ていた侍女が、恐れながら、と歩み出た。


「ソリャン様から、決してレイラ様をお一人にしないよう、おおせつかっております」


「一人ではありません。私がおります。

それに、部屋の入り口をこれだけの兵士で固めていれば、

侵入者もやすやすと入ってはこれません」


違いますか、と振り返ったサジと正面から向かい合い、

意見を述べた侍女は、耳まで真っ赤になってうろたえる。


「わかりました。皆、さがって」


レイラの一言で、侍女や兵士は顔を見合わせたが、

やがてそれぞれお辞儀をして、扉の向こうへ消えていった。


< 196 / 366 >

この作品をシェア

pagetop