さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
レイラ様、と言う低い声で視線を上げると、
すぐ目の前に、再びサジが膝をおりこちらを見ていた。
「人払いをお願いできますか?」
「え?」
なんのためにだろう。
レイラはサジの目的がわからず、返答に詰まる。
それを見ていた侍女が、恐れながら、と歩み出た。
「ソリャン様から、決してレイラ様をお一人にしないよう、おおせつかっております」
「一人ではありません。私がおります。
それに、部屋の入り口をこれだけの兵士で固めていれば、
侵入者もやすやすと入ってはこれません」
違いますか、と振り返ったサジと正面から向かい合い、
意見を述べた侍女は、耳まで真っ赤になってうろたえる。
「わかりました。皆、さがって」
レイラの一言で、侍女や兵士は顔を見合わせたが、
やがてそれぞれお辞儀をして、扉の向こうへ消えていった。