さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「でも、理由は他の侍女から聞いたわ。
咳が出るので、私にうつさない様にしばらく来るのを控えるって」
わざわざ人払いをさせたのだから、何か教えてくれるのかと待ってみたが、
サジは考えこんでいるようで、一向に口を開かない。
「それで私を襲った人は、見つかったの?」
痺れを切らして、訊いてみた。
「あぁ。多分な」
「多分?だって、はっきり顔を見たんでしょう?」
「いや、あれは嘘だ。わかったのは女だということだけ。
暗かったし、頭から何かを被っていたから顔は見ていない」
レイラは混乱してきた。
だったらどうしてソリャンにあんなことを言ったのか。
サジは自分に投げられた責めるような視線に気づき、
レイラの疑問を見透かしたように答えた。
「私がそいつを知っていると言えば、困るやつがいるだろうから」