さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「困るやつ?」
おうむ返しに答える以外、レイラにはできることがない。
それでも、サジは今までよりもずいぶん滑らかな口調で説明をくれた。
「君を襲った張本人と、それを裏で操ってるやつさ。
顔を見られたのなら、以前と同じように行動するのは危険だ。
私が暗殺者を捜して、城中をうろうろしているからな」
「それじゃあ、わざと嘘をついたのね。
でも。え、それじゃあ、まさか!?」
ようやくサジのつけた道筋がうすらぼんやりと見えてきて、
もっとはっきりした目標点を探すように、レイラは目を見開いた。
「そのハスナっていう侍女が怪しい。
私が公言した直後に姿を消すなんて、偶然にしては間合いが良すぎる。
そいつは秘密の通路を使って君を殺しに来たんだ。
まず間違いなく城に勤めていて、しかも王族に近いところにいるはずだ。
それに、人を殺すのにも慣れている。
おそらくは、君の顔や行動もつつぬけだ。
暗殺に一番都合がいいのは、殺す相手に仕えることだ」
レイラはぞくりとあわ立った。