さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・ソリャン王子というのは、どんな方なのかしら。
上手にお姫様の役を演じられるのかな。
レイラの不安な気持ちを見抜いたかのように、
ジマールは眉を吊り上げ、厳しい口調になった。
「レイラ。お前がうまくソリャン王子に取り入れば、家族の命は助かる。
だが、万一、お前が裏切って自分の素性を王子に明かすような事があれば、
どうなるか、わかっておろうな?」
「はい。私は、お父様の娘として、精一杯ソリャン様に尽くします」
・・だから、どうか父さんたちを助けて!
こみ上げる感情をぎりぎりのところで押さえ込み、レイラは静かに頭を下げる。
期待以上の返事を受けて、ジマールは満足げに笑った。
「心配しなくても良い。
腕のいい医者に見せたから、お前の姉の怪我はだいぶ良くなった。
父親の足の怪我も、ちゃんと治療してやる。お前が従順であり続ける限り」