さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

お尻ではなく背中で座るような格好でだらしなく壁にもたれかかり、

ユーリは足を大きく投げ出した。


「それはそうだろうけどね。

カマラの知っている抜け道の情報が、昔と全く同じだって言い切れるかい?」


「そりゃあ、どこか変わっているかもしれないけど、

城の抜け道だって、ちゃんと・・・」


そう言ってから、カマラははっと目を開いてユーリを見た。


楽しそうに浮かべた笑顔に不似合いな、理知的な瞳。

ユーリはカマラが警戒しているのを察してなお、微笑んだ。


「抜け道の話、誰に教えてもらったの?」


なぜ知っているのか、いつ知ったのか。

もちろんカマラはしゃべっていない。


話したのは、“昔住んでいたことがあった”ということだけだ。

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