さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
レイラは、頬にひんやりと冷たい物を感じた。
それが剣だとわかり、息を止める。
恐ろしくて目を閉じたいのだが、それすらもできなかった。
「え、レイラ様!?」
隣の部屋への扉を全開にした女は、光に照らされたレイラの顔を見て剣を落としかけ、
慌てて握りなおした。
「どうしてあなたがここに」
「ハ、スナ・・・?」
暗かった室内が、うっすらと明るくなると、
レイラは、自分に剣を向けている相手が今朝まで自分の傍であれこれ世話をしてくれていた侍女だと気づいた。
「おい、ハスナ。どういうことだ!
あのサジという男が来るはずじゃなかったのか!」
恐る恐る左手にいる声の主を見やり、レイラは思わず大きな声を出した。
「ジウチ王!!」
レイラと目が合った男は、返事の代わりに、ちっ、と舌打ちを返した。