さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ハスナの注意がジウチに向いているせいか、
剣の切っ先がレイラの首元辺りまで下がってきている。
さっきまで走っていた緊張とは明らかに種類の違うものが、
レイラの体に湧き上がり、力を与えた。
床に目をやると、自分の右後ろから光が差し込んで3人の影を作っている。
レイラは深く息を吸い込んだ。
・・お父さん、お姉ちゃん、力を貸して!
レイラは天国にいるはずの家族に祈りを捧げると、
身を翻し、脱兎のごとく扉をくぐった。
「あっ!」
バタン、という音がして部屋が暗闇に引き戻された。
油断した、とハスナは反応が遅れた自分に舌打ちをした。
「な、何をしている!早く追わぬか!!」
「わかっております!」
ジウチに怒鳴られ、ハスナが妖艶な顔を捨て、渋面を作った。