さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「お前みたいに頭のいいやつにとっては単純な造りかもしれないが、
途中分かれ道もあった。レイラにとったら複雑な道じゃないのか?
しかも中は真っ暗闇。
俺たちだってカマラの案内がなきゃ、迷っていたかもしれない。
簡単に出口までたどり着けないはずだ」
平静を保っているようでも、わずかな狂いが生じている。
サジは、すまん、と頭を下げ、言い直した。
「手分けして探す。見つけたら騒ぎになる前に連れ戻す」
侍女に近づくと、サジは腰を落としおもむろに肘掛をつかんだ。
「私たちの事をソリャン王子に告げれば、
君がレイラをきちんと見ていなかった咎を受けることになる。
それ以上に、隠し通路の存在を知ったものは、必ず殺される。
私たちは、必ずレイラを連れ戻す。だから君は何も見なかった、何も聞かなかった。
いいね?」
侍女は暗示にかかった人形のように、がくがくと頭を上下した。
「ありがとう」
サジは柔らかく微笑む。
理由は判然としないが、そうすれば女が協力する確率が高くなると経験で知っていた。