さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・サジはお父さんの居場所を知っているのかしら。
必ず帰ってくるから、と告げた父の顔をレイラが思い出した時、
扉の開く音とともに、背の高い男が姿を見せた。
ミゲルよりも少し年上だろうか。
身なりからも雰囲気からも相当高い地位にいるように思える。
が、レイラが抱いた第一印象は、それとはまったく別のものだった。
・・あら?この人、誰かに似ている。
入ってきた男の顔は、どこか見覚えのある顔だった。
「ただ今戻りました」
サジが頭を下げたのを見て、レイラはあわててそれに倣った。
サジは、リア国の復興の状況を淡々と説明し、
男はそれに質問を挟みながらうなずいた。