さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
やがて、一通りの情報交換が終わると、
男は、わかった、と満足そうな笑みを見せ、レイラに視線を投げた。
「ところで、お前の後ろにいる娘は?」
「レイラと申します。先ほど話に出た、リア国の王女・・・未来の王です」
サジの口から出た“未来の王”という単語に、レイラはずきんと胸が痛んだ。
それは、リア国に戻れという意味だろうか。
「レイラです。初めまして。
ええっと。サジ・・・さんの後見人さん」
尻すぼみの声に、男はプッと吹き出した。
・・あら、今の笑った顔は。
レイラの脳裏に、同じ顔をして笑う男の姿が浮かんだ。
もう少し歳を若くすれば、そっくりに思えた。
男はレイラの前まで来て、もう一度、今度は歓迎の意を込めて笑った。
「そういえば、名乗っていなかったな。
レガ国王の、カイルだ」
「あ、はい。カイルさん」