さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
レイラは親しみやすそうな男の態度につられるように、自然に笑みをこぼし、
言葉の意味を咀嚼して、唾を飲み込んだ。
「こ、国王?!」
「何だサジ。自分のことをちゃんと話しておらんのか」
カイルが片眉を吊り上げる。
「ええ。別に必要ないかと思いまして」
平然と自分を見返すサジに、カイルは眉間のしわをもみほぐす。
女心のわからない男を好きになることほど、女が苦労することはない。
口数が少ないのも考え物だ、と思うと、
レイラに向けた瞳も自然、憐みを含んでしまう。
「あいも変わらずの唐変朴ぶりだな。
まぁよい。それで?」
「彼女の父に、結婚の許しを得ようと思って戻ってきました」
・・え?今、なんて?
レイラが尋ねる前に、カイルはにやにやと頬を緩めた。
誰もいないはずの柱に向って、声を張り上げた。
「だ、そうだ。どうする、ミゲル?」