さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
冴え冴えとした月が冷厳な光であたりを照らし出す。
その光の下に映し出されたのは、
その月よりもなおおごそかに輝きを放つ銀の髪。
「私はどうも口数が足りないらしい。その自覚はあるんだが」
サジが昼間のことを言っているらしいと察し、レイラは苦笑した。
レガ国のカイル王や父ミゲルから聞かされた話は、
あまりにたくさんありすぎて、一度には頭に詰め込めないほどだった。
ユーリは、カイルの息子でレガ国の跡継ぎであること。
サジはカイルの弟の息子で甥にあたり、ユーリとは従兄の関係にあること。
サジの両親が死んで以来、カイルに引き取られ育ったことなど。
しかも、これらは氷山の一角で、
“聞かれなかったから”という言い訳(?)のもとに、
レイラに知らされてない重要な話は山とあるらしい。
『妻にも知る権利がある。お前たちは二人で話し合うべきだ』
次々に明かされる事実に目を白黒させるレイラを見て、
カイルはそう提案し、二人に部屋を用意した。
サジはその後もなにやら忙しくあちこち回っており、
夜半になってようやくレイラのところに姿を見せたのだった。