さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「きっと、父さんにも色々やりたいことがあるのよ。
大丈夫。報せがないのが良い報せってね。
きっと元気でやっているわよ」
「そうだね」
さびしそうに笑うレイラに、カマラは胸が痛んだ。
自分も父のすべてを知っていたわけではない。
それでも、レイラに比べれば、自分は父の裏の顔を少しは知っている。
馬も、剣も、すべて父から教わったのだ。
来るなと怒鳴る父に逆らい、こっそり後をつけて、
牢破りをしていると知った時には、腰を抜かしたが、
結局頑固な自分に折れて、父の手伝いをすることを渋々認めた。
レイラには絶対に秘密にする、と誓わされて。
どこか過去にとらわれているように見えた父のことだ。
多分、思うところがあって、姿を消したのだろう。
「報せと言えば」
カマラは話題を変えようと、意味深に微笑みかけた。
「サジには、もう話したの?」