さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
・・足が痛い。けど・・・、思ったより痛くない?
「大丈夫か?」
ぶっきらぼうな声に誘われるように、レイラはゆっくりと目を開いた。
・・不思議な瞳。
ヴィシューの湖の青だわ。朝日を浴びて反射している水面のように輝いてる。
ヴィシュー湖というのは、レガ国とリア国の間に位置する巨大な湖で、
雨の少ない両国において、重要な位置を占める湖だ。
生活用水としてはもちろん、生物も豊富に住むため、
多くの人々がこの湖を利用しており、レイラもこの湖の恩恵にあずかる一人だった。
「おい、大丈夫かと聞いている」
再びレイラの耳元に低い声が響いた。
その台詞で、レイラは自分のおかれた状況にはっとした。
体が、男の腕の中にすっぽりと包まれ、
お互いの顔が触れそうなくらい、間近にある。