さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
何か、とんでもない事をしでかしたような予感がはしり、
レイラは身震いした。
「質問に答えろ。お前は何者だ」
レイラを怯えさせるのに充分な迫力のある重低音が耳元でなる。
意図せずぴくりと動いた肩を、男の大きな手が押さえつける。
レイラの下がった眉がますます下を向き、顔がくしゃくしゃに歪む。
これからどうなるのかと思うと、声も出せなくなった。
「まぁ、まぁ、落ち着いて、サジ。
彼女、悪気があるわけでも無さそうだし」
助け舟を出してくれたのは、ユーリだ。
いまだつり上がった眉を下ろさない男の肩をぽんと叩くと、
ユーリはレイラに向かって柔らかく微笑んだ。
「とりあえず、宿まで行きましょう。
そこで、話を聴かせてくれる?」
こくんと頷く以外、するべき事がわからなかった。