さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「ご、ごめんなさい!」
高価な服を汚して怒られるだろうと思ったのに、
「大丈夫か?火傷してないか」
意外なサジの台詞。
抑揚のない声は、真意をつかませないが。
「えと、あの平気です。もう冷めていたから」
きつい瞳は少し和らいだような気がした。
「あちゃ~。すぐ新しい衣とスープ用意するから」
ユーリはすぐに宿の人間を呼ぶと、てきぱきと指示を出す。
「ユーリさんて、いつも動き回ってる気がする」
宿をとったときも、こまごまと動いて部屋の様子を確かめていたし、
食事の支度や他の兵士との連絡も、
ユーリが歩き回って仕事をこなしているように見えた。