さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
特に話しかけたつもりではなかったが、レイラの独り言にサジが返事をした。
「あいつは、犬だからな」
「犬?」
「そう。頭がいいのに、じっとしていられない。
いつも人の世話ばかり焼いて、貧乏くじを引く。
それでもあいかわらず楽しそうに走り回っている」
ユーリの事を話すサジの瞳は、優しさがあふれんばかりの色をしている。
二人は仲良しなのだな、とレイラは思った。
それにしても、と言いながら、サジの瞳がレイラの瞳を捕らえる。
レイラの心臓がどきん、と大きく跳ね上がった。
「お前は、自己申告どおり本当にドジなんだな。
一日に二度も失敗してよく生きている」
「きょ、今日は、たまたまです。いつもは」
「いつもは?」
「一日に・・・一回。くらい、です」
語尾がしぼんで消えていく。
馬鹿にされているのに、言い返せない。