さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
かわいそうになぁ、ユーリの声が夜のしじまに吸い取られていく。
猫背でお茶をすするその姿は、とても24歳の若者には見えない。
ずずず、と音を立てる様はまるっきり年寄りだ。
レイラから一部始終の話を聞き出し、ユーリはすっかりその境遇に同情してしまった。
「同じレイラって名前だけで、替え玉にさせられるとはね」
「いや、リア国じゃあレイラって名前は14歳の娘に多いらしいから、
名前が一致したのはたんなる偶然だろう」
ユーリの言葉に口を挟んだサジは、
向かい側の椅子に腰かけ、剣の手入れをしている。
「そうなのか?」
椀のふちに口をつけたまま、ユーリは目だけをサジに向ける。
もう少し説明しろという音のない訴えに、
サジは剣から目を逸らさず応じた。
「なんでも、昔誘拐された王女の名前がレイラというそうだ。
王女にあやかって、
その年に産まれた女の子にレイラという名前を付けた人間が大勢いると聞いた。
皆、そろって14歳ってことだな」