さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「なるほどね。彼女の親もその一人って訳か。
王族にあやかったって、なあんもいいことないと思うけどなぁ」
ユーリが意味深な上目遣いをよこしたが、サジは相変わらず入念に剣を磨いている。
その手が、ぴたりと止まると、
人形のように感情の無さそうな美しいサジの頬が、わずかに緩んだ。
それが、彼の笑い顔だということに気づくのは、彼の乳母か、母。
それにユーリくらいのものだ。
父でさえ、彼には感情というものがないのではないかと誤解するくらい、
サジの表情は変化に乏しい。
その微妙な笑顔の先には、ユーリの姿。
「それにしても、ユーリは女嫌い返上か?
ずいぶんとあの娘を気遣っているが、いつからそんな色男に変身した?」
「女って、あれは子どもだろう。俺は子どもには優しいんだ。
それに、女嫌いじゃなく、苦手なだけだ」
ユーリがへそを曲げるのを見て、
それを予想していたサジは、もう一度かすかに微笑んだ。