さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

「なるほどね。彼女の親もその一人って訳か。

王族にあやかったって、なあんもいいことないと思うけどなぁ」


ユーリが意味深な上目遣いをよこしたが、サジは相変わらず入念に剣を磨いている。


その手が、ぴたりと止まると、

人形のように感情の無さそうな美しいサジの頬が、わずかに緩んだ。


それが、彼の笑い顔だということに気づくのは、彼の乳母か、母。

それにユーリくらいのものだ。


父でさえ、彼には感情というものがないのではないかと誤解するくらい、

サジの表情は変化に乏しい。


その微妙な笑顔の先には、ユーリの姿。


「それにしても、ユーリは女嫌い返上か?

ずいぶんとあの娘を気遣っているが、いつからそんな色男に変身した?」


「女って、あれは子どもだろう。俺は子どもには優しいんだ。

それに、女嫌いじゃなく、苦手なだけだ」


ユーリがへそを曲げるのを見て、

それを予想していたサジは、もう一度かすかに微笑んだ。


< 46 / 366 >

この作品をシェア

pagetop