さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
「苦手、ね。そういえば、あのなんとかっていう女はどうした。
しつこくお前に言い寄ってきてただろう。城中逃げ回っていたと聞いたぞ」
「う、うるさい!俺は、理想が高いんだ。
女は、こう、はにかんで微笑むようなおしとやかで可憐な女がいいんだ」
握りこぶしを作って力説するユーリに対し、
「そんな希少価値のある動物がいるなら、ぜひ私に紹介してくれ」
無表情のまま、言い放つサジ。
言葉の言い争いで勝ったためしはない。
というより、剣でも泳ぎでもサジに勝負を挑んで勝ったためしはないのだが。
ユーリはチッと舌打ちをした。
そんなことより、と真面目な顔をしてユーリはサジに詰め寄った。
声を潜めて耳打ちする。
「どうするんだ?」